リハビリと全く関係ありませんが、私たち理学療法士や作業療法士は運動神経や筋肉などプロなので参考程度に経験トレーナーとして解説します。珍しい内容になると思いますが、格闘技をされているお子さんを抱える親は知っておかなければならない内容です。
お子さんやご自身が格闘技をされて成果が出ないと悩む方も多いのではないでしょうか。育成経験からアドバイスと注意点をお伝えします。息子たちは組手や型の両方で沢山のトロフィーを自宅に並べてくれています。
まず格闘技では当然の事気持ちは一番の要素になります。最も重要なことですが要素にしか過ぎません。気持だけがいくら強くても勝負にはなりません。喧嘩は出来ますが「組手」にはなりません。
そもそもパンチ力は速度×重さ(体重や筋肉量)で表現されますが、当てる位置、そして当てるための技術も関係します。腰を据え、体幹の回旋力を用いて相手の嫌がるところに打ち込めるか。その際に速度×重さで一撃必殺が発生します。とても単純なのです。いくら筋力を鍛えても一撃にならないのは、身体の回旋力と床反力(下肢が地面の跳ね返りの力を利用する)で嫌がる部分(弱い部分)を打ち抜いていないからです。相手だって鍛えてますし打たれ慣れています。でもいざ手合わせをすると、経験者はすぐに差を理解できるのが勝負です。
胴回し回転蹴り、バックスピンなど大技は沢山ありますが、まずは突きの注意点を解説します。
鍛え方のブログは沢山ありますが、リスクのブログはお目にしたことがありません。本でも何でもリスクには触れていません。怖いのがリスクなのです。実際、格闘技は流血が伴う場合が多く、それがかっこよく観えたりします。
私は医療職なので最も気にしていたのが突き(パンチ)です。素手でミットを打つと拳から流血する場合があります。ボクシングは拳をサポーターで固めその上にグローブをつけるので流血はありませんが、極真空手や打撃系は流血する場合があります。拳が出来上がっていれば大丈夫なのですが大体流血します。そうなると一番の懸念事項は感染症です。
自分の拳も流血し相手の流血したあとのミットに拳が触れれば、相手が感染症を持っていれば針刺し事故と同じで肝炎でもHIVでも感染のリスクが高まります。だから拳サポはミット打ちでも最低限のアイテムなのです。C型肝炎ならばインターフェロン治療などがありますが、現代医療ではそれ以外は一生感染症を抱えないといけません。医療職の方は安易に想定できることです。
最期に技です。相手への間合いの入りこみの速度です。前蹴りまでに相手にガード位置に対して迷いを与えるフェイクと前蹴りに到達するまでの速さ(入り込み)です。上段回し蹴りよりも勝ちやすいでしょう。接近までのステップ力の速さがポイントですが、蹴りが相手に見えない位置から繰り出されないとヒットしません。横蹴りも見えない位置から繰り出されるからヒットするのであって、相手が自分の脚を観ていない瞬間を察知出来ないとヒットしません。それでも十字ガードされるのであれば速度と眼力・技術力が足りていません。
最後にガードは90度肘を曲げ顔を隠し耳も隠すと上段蹴りを受けられます。前方からの前蹴り・横蹴りなどは十字ガードします。、蹴りはさばきもできますが次の攻撃を予測した上での動きになります。下手に手でさばくとフェイントに間に合いません。良く印象で下がるな!って言いますが、下がってもよいので、技をとるために上段膝横蹴り、膝立て蹴りを鍛えていれば接近戦で高確率にヒットします。相手の伸長によってはガードが開く瞬間に技を出せるかが物を言いますので慣れが必要になります。
いずれにせよ好きなことであっても格闘技は無傷では出来ません。腰痛などの後遺症を残さないことを優先させてあげて下さい。脊髄や末梢神経に傷が入るとシャレになりません。
脊髄は一旦傷が入ると今の医学では塑性しません。打撃や自分の技により腰痛を抱えるとスポーツ外傷を背負い今後の人生に影響が出来ます。柔軟な体や筋肉はとても重要ですが、ウエイト差のある相手には身体への損傷リスクはかなり高くなります。体重差という問題は技術ではどうにもならないからです。距離をとってヒット&アウェイもよいですが、体力戦になり一撃受ければダメージを抱えます。そのダメージが大きいのです。速度×重さは蹴りでも同じことを意味しますから。
スポーツ外傷は大人になって悩まれる方が多いのも事実です。リハビリをしていると良くお会いします。問題はそれによって仕事に支障をきたしたりスポーツ人生が絶たれることです。格闘技をされることは心身のためにもとても良いことだと思いますが、そういったリスクも抱えています。
衛生面も含め我々のような国家資格を有するトレーナーの存在がとても重要です。骨折したかどうかではなく、そこに至らないプロセスを指導できるトレーナーが必要なのです。どの筋肉をどのような運動で筋肥大をさせずに鍛えるのか、持久力を鍛えるためにはどういう筋繊維にアプローチが必要か、心肺能力をどう効率的に高めるか、反射速度や反応をどのように高めるかなどを、身体に負担ないようにサポート出来るトレーナーが子供のスポーツには特に重要です。
子供に結果を残させたいのであれば、その手のプロにトレーナーになってもらい。自分より強い相手と組むことです。どの角度であれば相手の死角で蹴りが成立するか、その速度を高めるために白筋のどの筋肉を鍛えるか。専門職はよく理解しています。怪我がないことが一番です。
