

この医療・福祉介護業界に入って、比較的多くの方の最期と関わりました。桜の咲く前に前職を退職致しましたが、心残りは多くの入居者の方から「最期までここで頼むな施設長さん。あんたがおるから安心している」、家族も「施設長さんを私も親も頼りにしてます。どうかよろしくお願いします」と言われていたのに約束を果たせないままになっていたのが気がかりでした。
病院受診にお連れすると「施設長さんがついて来てくれるから子供たちよりも安心」と言われ涙ぐむ方もいらっしゃいました。残していくご家族へ言葉に出せない不安もあったのでしょう。コロナ禍でしたから面会制限もあり不安は想像以上だったと思います。
映画「ほどなく、お別れです」を観に行きました。「残される人、逝く人」、この業界にいると本当に考えさせれます。何気なく関わってきた「死」は個々人や家族にとって物語の終焉になります。いつかその時は誰しも不平等に訪れますが、アイドル志向の映画の割には業界人として感性を高められる良い映画でしたし、改めて考えさせられました。
あれから2年、偶然あるご入居者のご家族様にお会いしました。そしてそのご両親の最期の時のことを伺いました。退職の時は遠方から帰京されたご家族に退職の話をするとご姉妹で号泣されることがありました。大変、心苦しかったので、それを機に他のご家族も不安にさせてはいけないと想い最後まで退職のことを言わないようにしていました。それが良かったのか悪かったのかは今となっては分かりません。ですが、今でもこうやって偶然ご家族にお会いすると、当時の入居者の方々とのやり取りを思い出させて頂きます。墓前に「感謝をお伝えください」とお願いし失礼させて頂きました。
退職の数カ月前より今後の起業を具体的に決めておりましたので、次の転職意思はなく、残念ながら会社に対して退職の在り方も含め正直気にしておりませんでした。退職までご入居者の対応に不備が出ないか見守っていました。後で聴いたら、ご家族の皆様方は私がどこの施設に行くのかを気にされたいたようで申し訳なく感じております。私の住所を探して手紙で想いを頂いたご家庭も複数件ありました。たまに遊びに来てくれる元職員の皆さんにも感謝申し上げます。
施設の夜勤は怖いという介護・看護職員さんが時折いらっしゃいます。確かに暗い中怖いでしょう。少ない職員の中、いつどうなるか分からない方の対応をしながら、認知症の方や転倒や転落などの予期せぬ事態の予防などの責任も重大です。さらに「誰もいないのに音がした」「何か動いた」「誰もいないはずのベッドからナースコールが鳴った」などの噂話を聞けば聞くほど恐怖もあったりします。実際はそんなことあるわけないのですが……。
職員からそういう恐怖体験を相談されると私の考えを伝えていました。「一生懸命携わり、相手に思いやりのある仕事をしてきたのであれば、おそらく入居者や入所者はあなたに感謝することはあっても恨むようなことはないと思う。だから怖くないです。皆さんは仕事が上手く行くようにあの世から見守ってくれているはず」と持論ですが、我ながら的を得た勝手なアドバイスだと思っています。
残念ながら本当に恐ろしいのは生きている人間のほうかもしれません。「誠実さ」に勝るものはありません。それを持ちわせた域にいる方々はそこに関わろうとせず、粗悪を感じ取り次にささっとステップアップします。反対に成長しないで「粗悪さ・表裏・恨み嫉み」を堅持する人は変化や考えに気づきません。本当に残念なことです。そういう上司や環境・事業所風土にも問題があるのかもしれませんし、法人としてのマネージメントが粗雑なのかもしれません。
入所者や入居者、利用者は一人一人の仕事ぶりを観ています。あの人なら大丈夫、この人が夜勤の時は怖い、人数が足りず忙しそうなど、あからさまに雰囲気で分かります。「魚は頭から腐る」と言います。そういう雰囲気の現場はトップにも問題があるのかもしれません。
私も久々以前の職場のご家族にお会いし、色々なことを思い出せて感謝しております。法人の頭として気をつけたいものです。昨年12月末から現在に至るまで25名程度の方の面接をさせて頂きました。こんな会社にご応募頂いて感謝申し上げます。よい職場作りに今後も努めたいと想います。