私たちのミッション

 私が作業療法士になったのは、昔(当時)施設の介護職員だった頃に、車いすの高齢者が「自分で立ち上がれるようになりたい」というご要望を受け、たまたまその施設に来られていた療法士にアドバイスを受けたことがきっかけでした。毎日、一緒に立つ練習をしました。すると立ち上がれるようになり、ご本人は喜びで涙を流されていました。この経験を通じて「あきらめない」ということの大切さを学ばさせて頂きました。

 但し、そこには立ち上がれるようになるための、膨大な医学的な知識が必要になることも知りました。つまり、今の能力や回復を行う為には、そういった専門職の存在の有無や環境、その専門職の資質の存在が不可欠になります。

 この仕事をしていると、脳卒中などをきっかけとして、退院の際、「このまま車いすのままです」など、ある程度の診たてを受け退院される方が多いと感じています。それにはCTやMRI、その他検査などからわかる医学的所見をで予後予測されます。しかし、時々、その診断を超えて回復していく事例もあります。

 これまでも「もう歩けない」と言われ退院され、リハビリした結果、杖で歩くようになり職場復帰した方や、麻痺した手が少しでも動くようになる事例を幾度も経験してきました。全てがこの限りではありませんが、重度な麻痺にも関わらず、リハビリをしていると今でもそういう方に出会います。少しでも指が動くようになったり、膝が曲がったりなどの変化が起こると皆さま喜ばれます。医学的には、この事を神経の可塑性・可逆性といい、一旦途切れてしまった回路が回復する過程を意味します。

 こういった可能性や冒頭の車いすの方が望んだ想いに、「可能な限り挑戦」することを大切にし、入浴その他の介護負担の軽減も図りながら在宅生活を支え続けたいと考えています。

 座って観る景色と、立って観る景色は違います。歩けるようになるとさらに拡がりが出来ます。そういう想いをご家族、関係者とともに共有できる事業所でありたいと思います。