いつもブログを閲覧頂きありがとうございます。今回は「 浮 腫 」の私見をお伝えしたいと思います。
少し小難しい内容になります。
まず、浮腫は細胞外に間質液(組織液)が露呈し、細胞と細胞の間に「うっ滞」している状態を言います。この間質液は血管から染み出し細胞へ栄養を送っています。
この栄養を取り込めない状態、または細胞から染み出した状態を「 浮 腫 」と呼んでいます。
話は変わりますが、大動脈には冠動脈への血流維持をする「 大動脈洞 」という調節機関があります。
頸動脈にも「 頸動脈洞 」という機関があり血圧を監視し「 血圧調整 」をしてくれています。
具体的には頸動脈洞からの情報は脳神経を経由し、延髄が血流調整を行っています。この機能が破綻すると血圧調整機能が崩れます。
例えば、血流が増え頸動脈洞の血管の壁が伸張されれば、頸動脈洞(圧受容器)が反応し、その情報が延髄の血管運動中枢に伝わります。
延髄は「血圧が上がっているよ」と心臓に働きかけ、交感神経にブレーキをかけると心拍数が減少し血圧が下がります。これを圧受容器反射(迷走神経反射)と呼んでいます。
ストレスや緊張で動悸がすることがありませんか。それと似たような現象です。
反対に頸動脈洞の圧力が下がると血圧が上がります。ここで気をつけたいのは「 頸動脈洞 」への刺激です。
頸部への刺激次第では迷走神経が反応し、急激な血圧低下や心拍数の減少、あるいはめまいや失神といったイレギュラーを起こします。これを頸動脈洞症候群と呼んでいます。
現場では良く目にします。取り合えず足を挙上して寝てもらっている姿です。
ですが、頸椎損傷の方、神経疾患の方、肩が凝る、首を痛めた方などのアプローチには注意が必要です。
なぜならば、この頸動脈洞(血圧調整)と浮腫は密接に関係しているからです。
例えば、心不全などで血圧が下がると「血液が足りない」と感知します。
すると腎臓からホルモンが分泌され、この作用で塩分と水分の再吸収が促進され、体内に水分が貯留しやすい状態になります(この機序をレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系と呼んでいます:全て腎臓から出るホルモンの名前です)。
さらに、脳下垂体(ホルモンの最高中枢)から「バソプレッシン」という抗利尿ホルモンが分泌され、体内に水分を保持しようとします。
結局、血圧を維持するために血液量を増やした結果、血管から外へ水分が漏れ出し浮腫が起きます。
この機能を正常化しようと、頸動脈洞は尿や汗で余分な水分を外部へ放出させ、浮腫を軽減しようと作用します。洞不全症候群ではこれが作用しないので浮腫が継続します。
心不全や腎不全はこういった機能と同じように、機序が破綻した結果として浮腫が起こります。慢性化すれば病名の前に慢性が付きます。
この医学的メカニズムを踏まえると、「 リンパドレナージ 」や「 浮腫の対応 」はハイレベルな知識を要することが分かります。
民間でされるマッサージやドレナージを否定している訳ではありませんが、私たちは体液均衡(血管と細胞の浸透圧のメカニズム)を「 スターリングの法則 」と呼び重視しています。
当然、浸透圧は高い方から低いほうへ向かいます。外部から圧力をかければ、この法則さえ崩してしまうので、血管・細胞間のやりとりを阻害してしまいます。
私たち医療職がドレナージをする。弾性包帯で圧迫するなどの方法は、全て医療的徒手技術、圧迫できる圧力などを熟知し、さらに圧受容器反射のリスクや浸透圧のメカニズムを視野に入れて行います。
また、「 癌 」などは、細胞から遊離しリンパ管内に染み出している場合もあります。こういった状態は転移を促すことになります。
デイサービスなどで「 Dr メドマー 」をされる方も多いかと思います。こういうリスクを理解していないで提供するのはリスクがあると思いませんか?
炎症(蜂窩織炎)や象牙皮膚、水漏れ(破れ)、静脈瘤などはさらに注意を払う必要があります。
ここでは軽擦法などのリンパドレナージは説明しませんが、「 浮腫 」は非常にデリケートな対応を要するという点と、もし低血圧などで間違った対応をすると失神などが起きます。
こういった事から、頸動脈洞由来の反射を甘くみると危険だということがお分かり頂けると思います。
今回は浮腫の対応について要望がありましたので、「 浮 腫 」のメカニズムとリスクを説明させて頂きました。
専門職に委ねられる環境でないとリスクも高いのでお気をつけ下さい。
次回は「移乗介助」のポイントを説明したいと思います。
本来なら実技を踏まえながら何が足りないか、トランスファーボードの使用方法などをご説明した方が良いと思いますが、それは来期4月からの研修で実施して行きたいと思います。
